Ano-Hacienda

長文が書きたい時の落書き帳。

やって!TRYで感動した話

一年半ぶりの投稿で突然ですが、毎週日曜13:00~ TBS系列で放送されている「噂の!東京マガジン」の看板コーナー「平成の常識 やって!TRY」をご存じでしょうか。

街中やレジャー施設にキッチンを仮設し、遊びに来てる若い女の子に料理を作らせ、間違える様をスタジオのオッサン達がひとしお笑い、最後はプロの料理人(いつも男性シェフ)がお手本と言って作った料理をみんなで食べる。「時代錯誤」「女性蔑視」と非難轟々のコーナー。(最近は男性もトライするみたいです)

しかし私はこのコーナーが割と好きです。厳密には、このコーナーで毎回0~1人いる完璧に作る子を見るのが好きです。ヘラヘラしながらスタッフと喋り、ナレーションにいじられながら手際良く完璧に作るのが最高にカッコよくて惚れます。婿入りしたい。

今はコロナの影響で総集編が放送され、今日2020/5/24は麻婆豆腐の傑作選だったのですが、思わず感動した話がありブログを復活させました。

_____
出てきたのは20歳の短大生(専門学校生だったかな?)。例によってちょっと意識低そうな栃木の女の子。
曰く「麻婆豆腐は大っ嫌いで幼稚園以来14年食べてない。見ると気持ち悪くなるレベル」と。

おいおい大丈夫かよと言う感じで調理開始すると流れが変わる。長ネギの中央に包丁を刺し根の方へ。明らかに料理うまい人の包丁捌き。次のシーンでは完璧なみじん切りが出来上がっている。

その後も手際良くネギとひき肉を炒め始め、豆板醤を投入、「このあと何入れればいいんだ?」と言いながら、母が作ってた頃の記憶を思い出し鶏がらスープを投入、きれいな賽の目の豆腐、水溶き片栗粉を順に入れ、勘と母の記憶だけを頼りに完璧な麻婆豆腐を完成。

そしてその麻婆豆腐を14年ぶりに食べた彼女

「めっちゃ美味しい!!!」

そらそうよ見るからに美味しそうだもん。

____
大人になると、トラウマレベルで嫌いな料理なんて食べる機会が圧倒的に少ない。
余程の縦社会でもない限り、大人になって食べることを強制される機会は限られる。

そして嫌いな食べ物は先入観で不味いと感じやすい。ネガティブバイアスで嫌いな味を意識してしまうからだ。

それでも、大人が食べざるを得ないケースでよくある「その料理界の中でも特に美味しいもの」が出されて仕方なくという場合、これは比較的克服できる可能性もある。
味は保証できるし、前情報がネガティブバイアスを軽減できるからだ。

しかし自分で作って食べてる克服、これはあまりにも厳しい。
まず、自分で嫌いな料理を作る機会がそうそう無い。ましてや美味しく作るのはほぼ不可能に近い。嫌いなら味見も苦行だし、味の判断もできない。

「その料理界の中でも美味しいもの」であれば、味は保証できるし、前情報がバイアスを軽減するが、自分で作ったものは、保証も無ければ実際に味も劣る。


そんな中、彼女はレシピ無しで「美味しい麻婆豆腐」を作り「めっちゃ美味しい」と言った。

「料理できない女の子を笑う下衆な趣旨の1企画」が、1人の女の子の食わず嫌いを凄い方法で克服させてしまった。

そこには、彼女の圧倒的な料理スキルがあり、母親の思い出があり、この企画が用意したシチュエーションがあった。

_____
まあ実際のところ、手際良すぎるし、味もレシピも分からない料理を勘で完璧に作るなんて仕込みの可能性が高い。
しかし間違いなく、これは1つのドラマだったと余韻に浸りながら、その後のダメな麻婆豆腐を見ていました。
(豆腐と間違えて杏仁豆腐を中華鍋に入れて「豆腐が溶けた!!」は普通に笑った。)


特にオチはないんですが、自分でも作りたくなり、今晩初めて麻婆豆腐を1から作りました。
https://cookpad.com/recipe/1729093
こちらを見ながら作りました。美味しかったですが、「適量」の豆板醤はちょっと足りず、水溶き片栗粉はちょっと入れすぎ。レシピ無しで作った彼女があらためて凄かったとまた余韻に浸っています。